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Birth of Cool

.12 2010 回想 comment(3) trackback(0)

ク?ルジャズは不良少年のものだ。
それも50/60年代を生きた、とびきりの不良たちであるビートニクスにこそ相応しい。クールの創始者はジョージ・シアリング。ビートニクスは、この英国生まれで盲目のピアニストをホットに支持した。57年に出たジョージ・ケルアックの『路上』という小説の中には、ジョージ・シアリングのステージを、まるで異神の降臨のように、息をのんで見つめる少年たちが描かれている。オン・ザ・ロード。移動しながら生活し、ヒップであることを正義としたビートニクス。彼らにとってクール・ジャズはヒップな気分の象徴に違いなかった。そんな気分をよく伝えるアルバム・ジャケットが、ソニー・クラークの『クール・ストラッティン』。きどって歩く女性の脚を捉えた写真からは、舗道に響くジャズの旋律がこぼれおちてくる。

トランペットの名手アート・ファーマーが巧いことを云っている。

「ソニー・クラークの特徴は抑制の無さだ。スイングしようと<努力>しているように聴こえるプレイヤーもいるけれど、ソニーは、ただあるがままに曲想を流れ出させるだけなんだ」

なるほど。ジャズが最もクールだったあの頃。ソニーのピアノからは、ビートニクスが陽だまりや路地裏にたむろしていた、あの時代の気分が饒舌に伝わってくるかのようだ。

そしてフランスにもひとり、きわめつけの不良少年がいた。
その男の名はボリス・ヴィアン。アメリカのハードボイルドの翻訳と称し、怪し気なベストセラーを書きとばしたお蔭で、すっかり文壇からはつまはじきにされた文学者。小説を著し、シャンソンの詩を書き、ジャズを論じ、ミニ・トランペットを吹きまくって命を縮めた男。

ボリス・ヴィアンはこう書いている。

「美しい少女との恋愛、そしてエリントンのジャズ。ほかには何もいらない。醜いんだから」

まさしくヒップだったヴィアンがこよなく愛したのは、デューク・エリントンとマイルス・デイビス。ジャズの歴史に偉大な足跡を残し、すっかり神様になってしまったマイルスだけれど、当時の彼はソ?ダ水のように軽快な音色を奏でる、クールでヒップな若者だった。

その頃、マイルスのライバルだったのがチェット・ベイカー。ジェームズ・ディーンに似た、陰のあるハンサムボーイだった彼は、繊細なトランペットと、真夏でも息が白くなりそうなファルセット・ボイス、そして西海岸の陽光に包まれたスマートな音色で、マイルスよりも人気があった。黒人びいきだったヴィアンは彼をあんまり評価しなかった。しかし、あの頃は誰もがチェットに憧れていたのだ。

女とクスリに明け暮れて躯を壊したり、ギャングとの金のトラブルで歯を抜かれてしまったり、晩年のチェットは往年の美貌も損なわれ、暗い話題しかなかったけれど、薄暗いクラブのスポットの中では、最後までクールに振るまっていた。悲劇的な変死をとげた彼を再評価しようとする動きは、最近になってようやく成功しつつあるのだが、残されたポートレイトの中では、彼のけだるい美貌が、いつものように挑戦的に微笑んでいるだけだ。





02-01.jpg





註釈:ところで、ドラッグについて思い浮かぶ光景がふたつあります。ひとつはコミュニティのなかで<交換>されるドラッグ。これはカレッジの学生用のアパートの一室で<交換>されるものから、宗教的な場所で<交換>されるものまでを含めて、きわめて儀式性の強いものだと思われます。その儀式はイニシエーションであったり、グループの結束を強めるためのものであったりなどと、いろいろな場合が考えられますが、それはおいといて。
もうひとつの場合が、路地裏で<流通>しているドラッグの光景です。もちろん悪魔が巣食うのはこちらのほうで、ドラッグを買う者は<捕虜>であり、<奴隷>であり、<無力な市民>であり、ドラッグの売人は<看守>であり、<主人>であり、<強大な権力者>であるという関係が見えてきます。
してみるとこれは、結局、世界の構造のみすぼらしいパロディのようにも見えますが、この関係がみすぼらしいのであれば、世界も叉、みすぼらしいのではないか。この関係が甘美であるならば、世界も叉、甘美なのではないか。
ウイリアム・バロウズが<ドラッグは生き方なのだ>と書いたものが、後者のドラッグであることは云うまでもありません。
そこにはカルチャーはなく、生き残るためではなくドラッグを手に入れることだけのための様々な手練手管がある。これってむしろ世界の構造よりは恋愛の構造に似ていますね。これはただの思いつきにすぎないので、この註釈には結論も提案もないのでした。

comment

ashzashwash
参考資料:
SONNY CLARK - Cool Struttin'
http://www.youtube.com/watch?v=-j0k8EnNcT8

Chet Baker - Time After Time - Special Edit
http://www.youtube.com/watch?v=KByd366fKdc&feature=related
2010.04.12 16:43
forgetful_cat
ポップスやクラシックしか知らなかった頃
突然、声が聞こえた。
それはある時は呟き、嘆き、ある時は自分を嘲り、聴く者を挑発し
そして、ある時には心臓をえぐる様に叫んでいた。
声の主はトランペット。言葉など発する筈の無い筈の楽器が
喋っている。話している。言葉が聞こえる。
初めて体験したリズムと共に。
とにかく興奮して
何度も何度もせがんで同じレコードを掛けて貰った。
誰?この音の持ち主は。
「マイルス・デイヴィスだよ」
尋ねた人は微笑みながら教えてくれた。
そして言った。
「ようこそ jazz の世界へ」


2010.04.13 23:13
ashzashwash
マイルスこそがJazz。マイルスという希代のフロントマンがJazzの地平を切り開いてきたのですから、マイルスが死ぬまでJazzは死んでいなかったのだと信じたいものです。そして今、Jazzの遺体を絢爛豪華なレクイエムで祀ろうとしているのがウィントン・マルサリスでしょうか。

forgetful_catさん。続きを読みたいというぼくのリクエストに応えてくださってありがとうございました。こんなコメント欄に埋めているのは惜しいので、ぜひ少し長いものに纏めてください。何だったらぼくがここで纏めてしまってもいいのですが、その場合は返品保証は致しません。
2010.04.14 13:46

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ashzashwash

Author:ashzashwash
桑原義江。男性。Ash。あるいはy<kと名乗った事もある。あるジャズ・レーベルのマネジメント・オフィスに勤務。その傍ら知人の紹介で、ファッションビルの広告媒体や某音楽系出版社の女性雑誌にアート関係の記事を書かせて頂き、その稿料で貧困生活を糊塗する日々が続く。或る日の朝、出勤のため恵比寿の坂道を下っている時に何もかもが嫌になり、地下鉄丸の内線日比谷駅のホームのベンチに蒼白な顔色で座っている姿を学生時代からの友人が見かけたのを最後に、東京23区内から失踪。赤坂のオフィスのデスクの上に残された遺留品は、デルヴォーの画集、カランダッシュの青いボールペン、それからビル・ラズウェルのライブのデモテープ、以上の三点であった。その後、アムステルダムの娼婦街でよく似た横顔の女衒を見かけたという報道もあったが、本人が非公式に否定。現在に至る。

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