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ベイビー・ブルー

.28 2010 詩篇 comment(3) trackback(0)


ねえ、きみ。

言葉ってさ

自由という名前をした

無明の闇ってやつに、さしのべられた

一筋の邪悪な光芒なんじゃないかな。


なぜ邪悪かっていうと

自由はでたらめであるが故に

矛盾もなく

したがって

まるっきり完全でもあるからさ。


ぼくがいいたいことは

はじまりの一瞬、前、には

いつでも完全な円を指向するってこと。

はじまりの一瞬、後、には

全ての挫折の萌芽が存在するってこと。


さすれば言葉とは

欲望と矛盾と挫折の歴史って訳だ。

さすれば日本語とは

忘却のための装置なりって訳だ。


ねえ、きみ。

あの頃のぼくは、いつも

垂直に屹立する世間とやらに

硝子張りの現実とかいうやつに

なすすべもなく爪をたてて

ただ、へばりついて

滑り落ちまいとしていたんだよ。


笑える話だよね、だけど

あれでも精一杯だったんだ。


まあいいや。


このさい、かたっぱしから

因果を欠いてやろうじゃないか。

理性がいじけて身をすくませる

酩酊する野獣になろうじゃないか。


世界が恐れているもの

それは、酩酊する野獣

あるいは、口の軽い道化者、それから

陽気なヤクの売人に違いないのだから。


おっと。

そろそろ、世界の終演の時間だ。

誰かに購ってもらおうじゃないか。

そうとも、今すぐにでも。


でも、そんなことより


ねえ、きみ。

昨日のことだ。


大通りの舗道を歩いていたら

淡く消えかけたタンジェリンの夕日が目に入り

あんまり綺麗だからアパートに駆け戻り

カメラを持って外にでたら

雲のスクリーンはもう流れ去っていた。


だからぼくは

きみに、許しがたい熱愛と

それから、譲渡しがたい恐怖を

代金引換配送で贈りたくなったよ。


それしても、きみには

ポスターカラーより

英国製のウィンザー&ニュートンの

水彩絵具が似あうと思うのだが。


ねえ、きみ。

そんなことが

ぼくにはとても大切なことだ。

いつだって

ぼくにはいちばん大切なことなんだ。





30.jpg





註釈:何やら稚拙な論理の戯れから、いつしかガールフレンドの水彩絵具の話にすれ違っているような、この奇妙なテクストが呟いているものは、日本語を話す者であれば誰もが持ちえているはずの<抒情>、あるいは<ことのは>、すなわち<事の端>についての言説であることは明白である。では<事の端>とは何か。それは事の端っこである。つまり事ではない部分のことだ。では<事ではない部分>とは何か。それは、<情>である。日本語とは、末尾の<情>のためにのみ発話される言語であり、その<情>の前に陳列される言葉などはどうでもいい、そんな言語なのかもしれない。いや、むしろ、その<情>の前に陳列される言葉は、最後の<情>がどれほどまでに<切実>なものか、という一点のみに奉仕されてしまう、とでも言うべきか。そのような言語は、いわば母親にむかって<See Me, Feel Me, Touch Me>と叫んでいるようなものかもしれない。しかし、それでも言葉は言葉であり、テクストはテクストであり、テクスト以外に何もないのなら何を書いてもいいじゃないか、と、このテクストはちょっぴり気弱に呟いているのかもしれない。とか自分で分析してみたり。


comment

hirohito57
きれいな作品に、足跡。オレンジの夕日においが香りそうですね。野獣になっても酩酊するのか、酩酊したから野獣なのか。らしいですね。
2010.05.28 23:06
ashzashwash
hirohito57さん。足跡、ありがとうございます。そうですね。野獣の酩酊にはそういう循環運動を発生させる力があるので世界が恐るるに足るのかもしれません。
2010.05.29 00:58
forgetful_cat
さりげない会話の
ささいな言葉を
煙みたいに消えてしまうから
時々、捕まえておきたい時がある

「僕は君のためだけの詩人でいたいんだ」
「他の誰に聞かれなくてもいい」
「二人だけの秘密にしよう」

確かに聞いた筈なのに
耳元で囁かれた言葉は
記した途端に秘密で無くなる
声が消える

残したい言葉がある
けれど、それは文字に出来ない

話す事と
書く事の
距離感と
温度差
触れ合っている様ですれ違う行間

書く事は一人でも出来るけれど
会話は一人では出来ない

だから、閉じ込めたい
捕まえていたい

証拠としてでは無く
思い出として
2010.06.10 05:39

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ashzashwash

Author:ashzashwash
桑原義江。男性。Ash。あるいはy<kと名乗った事もある。あるジャズ・レーベルのマネジメント・オフィスに勤務。その傍ら知人の紹介で、ファッションビルの広告媒体や某音楽系出版社の女性雑誌にアート関係の記事を書かせて頂き、その稿料で貧困生活を糊塗する日々が続く。或る日の朝、出勤のため恵比寿の坂道を下っている時に何もかもが嫌になり、地下鉄丸の内線日比谷駅のホームのベンチに蒼白な顔色で座っている姿を学生時代からの友人が見かけたのを最後に、東京23区内から失踪。赤坂のオフィスのデスクの上に残された遺留品は、デルヴォーの画集、カランダッシュの青いボールペン、それからビル・ラズウェルのライブのデモテープ、以上の三点であった。その後、アムステルダムの娼婦街でよく似た横顔の女衒を見かけたという報道もあったが、本人が非公式に否定。現在に至る。

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